結露は大敵



結露のメカニズム
空気中の水蒸気が水滴となって、家具の裏側に付いたり、ペアガラスの窓が曇ったり、室内
壁の表面が濡れたりする現象で、カビやダニの原因になます。カビやダニは呼吸器系の疾患
につながったり、皮膚病を引き起こしたりしますので、健康上とても有害です。
また、家の寿命を縮める最大の原因になるのもこの結露です。結露により、構造体や造作材、
つまり木材に湿気を与えますと、シロアリが飛んできて湿った木材を食べ、且つ、卵を産みま
すので、翌年の5月頃には羽化して大変な騒ぎとなります。シロアリは地面の中から上がって
くるよりも、飛来してくる方が蒸暑地域での被害は多いのです。
このように、結露をなくすことは、健康で快適な住まいを作る上で、欠くことが出来ません。

これを執筆している今日は2011年の6月27日PM5時ですが、外気温27℃湿度84%
私の仕事部屋の中も節電中で 27℃、84%です。非常に蒸し暑く感じて、パソコンに向かっ
て書き物をしていても汗ばんでいます。
さて、この空気が24℃程度にわずか▲3℃下がるだけで湿度100%になり、結露が始まる
と言うことが普段から使っている手元の計器で分ります。
それは、露点を示す計器がなくても、下図の空気線図によってもよく分りますよね。
それでは、第一歩として水蒸気の性質を知りましょう。
まず、私達が 湿度 と呼ぶのは空気線図の相対湿度のことです。
空気中の水蒸気量は気温によって大きく違います。例えば同じ湿度(相対湿度)50%でも気
温10度と25度ではその水蒸気量は3倍以上違います。
例えば、秋の昼間の気温25度湿度50%の空気が、夜に10度にまで冷えれば、湿度は3倍
以上つまり150%以上になり、空気中にとどまることは出来ず水滴になります。これでお分か
りのように、この温度差と水蒸気量との関係で結露が起きます。
ちなみに、私の家内は高い湿度に非常に弱く、頭痛がしたり食欲がなくなったり機嫌が悪くな
ったりしますので、本日の自宅の居間は28℃ 58%に空調 されています。 28℃と聞くと、
一見涼しくないようですが、実は湿度だけ下げれば温度なんて30℃でも快適なのです。
私は、昼休みに自宅で30分ほど目を閉じて休むのですが、この温湿度でぐっすりと眠ってし
まいます。
快適と感じる温度と湿度との関係はあちこちの大学で研究されていますので、別の項で詳しく
記述いたします。



結露を防ぐには
考慮すべきことの1 水蒸気量を増やさない
自動車販売店などのショールームの大きな窓は結露していません。
それは外気を屋内に取り入れる際に、エアコンを使って除湿しながら冷房しているからです。
先述の本日の自宅の居間は28℃ 58%に空調 と言うのも、外気温度と同じ28℃ですが
エアコンとルームドライヤーを使用しまして湿度を下げているのです。
冬の経験で理解されている通り、湿度が40%以下になると乾燥しているなと感じ、25%程度
に下がると、呼吸の際に喉に違和感を覚えます。
結露を防ぐには、適正以上に水蒸気を増やさないことです。

考慮すべきことの2 室内の空気温度と壁や床や天井の表面温度の差を無くする
温度差で発生する結露ですから温度差を無くせば結露はしません。
体感温度=(空気の温度+表面温度)÷2 という方程式があります。
この空気の温度と表面の温度の差が少なくなれば結露はしにくくなりますし、体感温度も
空気の温度と等しくなり、快適さが増します。
そのためには、断熱と空気の流れが大事です。



まずは断熱
対策の1
一番目に大切なのは、しっかりとした断熱(気密を含む)です。
その際に注意することは、繊維系の断熱材は暖かい空気を逃がさない役割をはたしますが、
光はうっすらと通しますね。
ということは、赤外線は光ですから個体面から発する輻射熱は通してしまいます。
ゆえに、繊維系の断熱だけでは不完全と言えます。



空気の流れ
対策の2
床や壁や天井の表面温度を可能な限り室温と同じにするには、断熱がしっかりしていれば、
ヒートブリッジになる部分をなくし、人が気付かない程度の流量でよいのですが、家中及び室
内の空気の流れを作ることです。
空気は移動する際に、表面を舐めるようにして移動しますので、壁や床や天井の表面を舐め
て移動します。
その移動により各部の表面が室温=空気と同じ温度に限りなく近づいていきます。
それには、現在義務化されている、24時間換気を旨く利用して空気を移動させることが
一番省エネで且つ有効な方法です。
その時に、素材としては表面積の大きいもの、ザラザラの表面のものの方が有効です。
つまり、塗り壁や板などの素材が有利で、ビーニールクロスなどは少し不利です。
また、調湿機能を持たせるとなおさら効果が高く、ここでも板や塗り壁に軍配が上がります。



決め手は窓(サッシ)
対策の3
私が対策として重要視するのが窓のサッシやドアです。
アルミサッシやアルミ製のドアではまず無理です。
アルミは熱伝導率が高く、熱を伝えやすい素材で、鍋やフライパン、ホットプレート、車のエン
ジンなどに向いていますが、それをサッシに使うと、外気温をそのまま内部に伝えてしまいま
す。アルミサッシでも、樹脂を挟んだものや内部が樹脂のもので「断熱サッシ」といっているも
のがありますが、枠がアルミですので、見えないところで結露する恐れがあります。
私たちの地域で使うには、樹脂サッシや木製サッシのように熱伝導率の低い素材で作られた
サッシに遮熱Low−Eガラスを組み込んだものがベストです。


結露ゼロの家づくりとは
結露しない家は家の中の温度があまり変わりません。
エアコンを使用しないときには、一階と二階と三階とを比較しますと各階により少しずつ
温度差はありますが、各階の中においては床面と天井面の温度差や北側の部屋と南側の部
屋の温度差はほとんど有りません。
結果的に夏涼しく、冬暖かく、冷暖房費が驚くほど少ないエコな家になります。
温度差がありませんから、大空間、吹抜、ドア無し、そんな開放的な空間が可能です。
あなたの理想や夢を叶えるには結露をなくすことが最重要だと思いませんか?
平成23年6月27日
中西和彦


close