2022年4月14日  谷口 怜

皆さんはタイトルのオープン工法とクローズド工法というのを聞いたことがあるでしょうか?今回は、当社のこだわりでもあるオープン工法とクローズド工法という言葉について解説したいと思います。

オープン工法とは

オープン工法とは、一般的に広く公開されている工法です。

建築基準法からなる建築関連法規に材料の種類、強度、使用方法などについて細かく記載がありキチンと勉強すれば誰であってもその仕組みや情報を入手できる名前の通りオープンな工法で、木造軸組工法、2×4工法などがそれにあたり、例えば構造図・施工図をみればどんな部材がどこに使用されているか分かるので、どこの建築会社に頼んでも、リフォームやメンテナンスができます。

クローズド工法とは

クローズド工法とはそれとは逆にクローズな工法のことになります。クローズといってももちろん、国や機関に申請して強度や品質が認められた物で型式認定や、○○認定と言ったもの取得していますので強度や品質はオープン工法と同様に保証されています。大手ハウスメーカーのプレハブ工法が代表的な物になります。
独自技術のため、企業秘密として一般的に公開されていません。そのため建築したハウスメーカーしか把握していないので、リフォームやメンテナンスを他の建築会社に頼んでもほとんどの会社が出来ないことが多くなります。

「築5年の某ハウスメーカーで建てた家をリフォームしたいと見積をしたら500万かかるといわれて相談したい…」

今回、この記事を書こうと思ったのは、この様な相談を近年受けたからです。

当社には幸い様々な知見や経験のある中西や先代、代々続く職人がいましたので、現地調査を念入りに行い、オリジナル部品の代替品などを探し出し、苦労してご要望を叶える工事を行うことができましたが、通常オープン工法であれば120万円程度の工事に、調査手間や代替部品などが割り増され200万円ほどの工事になってしまいました。それでも建築会社の500万という数字は何だったのか??

クローズド工法に潜むリスク

①クローズド工法は他の建築会社にリフォームの依頼がしにくい
前述の通り最大のデメリットは、将来的にリフォームが困難になるということです。構造図や施工図が無いので、他の建築会社にリフォーム工事を頼みづらくなります。つまり、家を新築した後は、他の建築会社と競合になることが無く、リフォーム費用が高額になりやすくなります。

②相見積もりをしても比較ができない
仕様が公開されていないため、使用している材料の割に高いのか安いのか他の建築会社と比較ができません。

③クローズド工法は、建てたハウスメーカーに不満があっても、付き合うしかない
住宅に不備があっても、メーカーの施工ミスなのかどうか、その家を建てたハウスメーカーしか判断できない部分があります。第三者の検査や判断が非常にしづらくなります。

④クローズド工法は、建てたハウスメーカーが無くなったら…?
最も恐れるべきは、建てたメーカーが無くなることです。いくら60年保証等と謳ったとしても保証している会社が無くなれば、何の意味もありません。上場企業であっても倒産リスクはありますし、企業の統廃合、M&Aがあれば名前は残っても事業だけは売られてしまうことも考えられます。

 ① 「誰もが知っている工法で誰にも真似できない技術」

建物が長年使われ続けるには、世代を越えて受け継がれる技術工法「オープン工法」を、いかに組み合わせて快適ないえづくりをするかという「手間」と「アイディア」が重要だと思っています。

これは設備機器にもいえます。取替が簡単な部分では新しい素材や性能の物を採用するのはとてもいいことです。ただ、簡単に交換できない基幹となる設備に、交換やメンテナンスが一社しかできない「一括システム」として導入してしまうとクローズド工法と同じようなリスクがあります。魅力的な設備であっても一度、立ち止まって20~30年後どんなことがおこるか考えてみることが必要ではないでしょうか?

 

2022年4月14日  谷口 怜