家中の温度を一元的に管理する高級ホテルの様な快適さを持つセントラル空調(全館空調)

25年以上前から全館空調を採用しているメンテナンスも含めたホントのところをご紹介

当社では、25年以上前からセントラル空調(全館空調)を採用し、沢山の住宅を施工してきました。2003年築のモデルハウスでも採用しておりますので、是非体感してください。

比較的高額な設備である「全館空調」の採用にあたっては、どんなメリットやデメリットがあるのか、よく考えていらっしゃる方も多いと思います。そこで最初に設置してからメンテンナンス時期を迎えたOB様のお宅の体験談もご紹介しながら、全館空調の特徴についてご案内します。

① ~全館空調とは~

まずは全館空調とはどんな物なのかをご説明します。全館空調といってもメーカーによって色々なタイプがありますが、一例を図化すると次のようなイメージになります。

ルームエアコンとの違いはその名の通り全ての部屋を一つの機械で空調するシステムです。メインの機械(室内機)は普段生活しているときには見えないように、小屋裏や機械室に設置され、天井裏等にダクトを通して各部屋の空調や換気を行います。

 

主なメリット

①温度差が少なく、廊下や家事室が快適。家事が億劫にならない。
②吹抜けやLDK一体のオープンな間取りでも、ゆったり寛げる
③廊下や洗面所と居室の温度差が少なく、介護や子育ても安心。
④きれいな空気を常に供給する為、花粉の多い時期も安心
⑤室内は空気の吹き出し口のみ、室外機も1台なので室内外共すっきり
⑥ほとんどの設備が隠蔽(隠れている)されるので見た目がいい

主なデメリット

①個別のルームエアコンに比べ、初期コストが高くつく
②ランニングコスト(電気代)が高くなる(建物の断熱性能により異なる)
③故障すると家中の冷暖房機能が止まってしまう。
④ニオイが家中に行き渡ってしまう。(要対策)
⑤部屋ごとの温度設定がしにくい。(上位機種は設定可能)
⑥部品代や修理代が高い。

 

 

②~全館空調と個別ルームエアコンどっちがいいの?~

当社にお見えになった方に良く聞かれるのが、全館空調と個別のルームエアコンどいらがいいの?というご質問です。

結論から申しますと、どちらもメリットデメリットがありますので、良い悪いではなくご自分がどちらに合うかというところで選ぶと良いでしょう。ルームエアコンについては、ほとんどご自分で手配ができますし費用感は比較的わかるかと思いますので全館空調を採用するにあたっての注意点をご紹介します。

全館空調を採用するに当たっての注意点

計画的にメンテナンスコスト、ランニングコスト、交換時のコストを貯める必要がある。

メンテナンスコスト
採用する設備にもよりますが、定期的なフィルター交換やお手入れが欠かせません。

ランニングコスト
主には電気代です。建物の断熱性能に大きく左右されます。断熱性能を高めずに全館空調を採用した場合、月々の電気代の高さに驚くことになります。断熱性能をしっかり高めた上で太陽光発電などの自家発電と組み合わせると抑えることができます。

交換時のコスト
全館空調本体はとても優れた良い物ですが、機械ですので当然寿命があります。
当社では実際に20年以上前に設置していた一番初期の全館空調は当社の企業努力もあり150万円以下で設置しておりましたが近年、寿命を迎え故障し交換を検討実施する案件が増えてまいりました。交換費用の目安は、ダクト以外は全て交換になりますので、初期費用と同額程度かかります。(現在の相場からいうと200~250万円程度という感覚です。)故障してしまった時には、相当の費用が発生しますので注意が必要です。

 

③~20年以上使用しているOB様の本当の声~

実際に20年以上使用してメンテナンス時期を迎えたOB様のお宅のエピソードをご紹介します。

O様の場合~全館空調を交換~

2002年新築 東京都品川区
全館空調メーカー デンソーソリューション
(旧ゼネラルエアコンテクニカ)

新築されて20年を区切りに、これからの20年を快適に過ごす為本格的な内外装のメンテナンスをご計画されました。全館空調の入れ替えもその一つです。20年間とても快適にお使い頂いており、何度か故障した際もサービス会社に出張修理してもらい、直ぐに快適な生活に戻ったそうです。

しかし数年前に製造完了後の部品保有期間が過ぎ、デンソーから主要部品の供給が出来なくなった為、今後のシステム全体の故障に備え、室内機と室外機の交換を選択されました。O様のお宅で採用している北米式の全館空調システムでは、天井裏のスペースに隠ぺいして設置してある室内機と室外機をセットで交換します。

壁の中を通っていて家中の各部屋に空気を送る断熱ダクトはそのまま使えますので、壁を剥がすなどの大掛かり工事は必要ありませんでした。外部の塗装工事と合わせ、中間期に全館空調機の交換も行いましたので、ご不便を掛けずに交換する事が出来ました。

20年経つと事情が変わり、全館空調メーカーのゼネラルエアコンテクニカさんも設置当時は外資系企業だったのが、トヨタ系のデンソーソリューションに様変わりし、同時に全館空調システムの設置基準が大幅に変更しておりました。
このお宅でも屋上に設置してある室外機が、現行の設置基準では地面に設置しなければならないとの事で、メーカーさんと喧々諤々やりあった事も良い思い出です。

 

T様の場合~悩んだ末に個別エアコンへ転換~

1996年新築 沼津市
全館空調メーカー デンソーソリューション
(旧ゼネラルエアコンテクニカ)

新築されてから20年程経った頃から、真夏、真冬になり全館空調システムの負荷が大きくなると故障しがちになり、何度かメーカーサービス会社に修理をお願いしていましたが、2021年の夏についにダウンしてしまいました。
前回修理した時に部品の供給で出来なくなる事を聞いておりましたので、買い替えを決断されました。とは言え、新築当時はまだよちよち歩きの2人のお子様も既に独立され、現在はお2人での暮らしですので、生活環境に合わせた2通りのご提案をいたしました。

1.全館空調システムの入れ替え
断熱ダクトを生かしての全館空調システムの室内機、室外機の入れ替え(概算金額約280万円)

2.個別エアコンへの転換
全館空調をやめ、リビングと主寝室に個別エアコンの設置(概算金額約60万円)

悩んだ末に使用しない部屋まで直接空調しないで済む、「2.個別エアコンへの転換」を採用しました。

最近の個別エアコンは省エネで、更にとても多機能になっています。全館空調を止めて個別エアコンにする場合、
大切なのが家の中の空気の流れと個別エアコン用の専用電源の配線経路の計画です。
個別エアコンに転換すると、全館空調の時とは外気の導入位置と空気の流れが大きく変わってしまい、お住まいの方も多少不便になる場合があります。
そのため今回も十分に事前の計画を練った上で、お客様に全館空調から個別エアコンにする場合の注意点などをご説明し、その上で今回は個別エアコンへの交換を選択されました。先日外壁の塗装も行い、リニューアルした写真をアップさせて頂きました。

 

K様の場合~全館空調の換気システムを生かして空調は個別エアコンに~

2000年新築 沼津市
全館空調メーカー デンソーソリューション
(旧ゼネラルエアコンテクニカ)

K様のお宅は、全館空調システムから個別エアコンに交換をさせて頂きましたが、家の中で犬を飼っている為、全館空調の快適さに出来るだけ近づける工夫をした参考例になります。

1.全館全館空調システムをそのまま残し、送風モードの連続運転をする。

2.2階の全館空調システムの吸込み口(リターン)に近い部屋に設置したエアコンを、24時間連続運転する。

3.吸込み口から室内機に戻った空調された空気が、断熱ダクトを通って各室へ供給される。

冬期での交換作業になりましたが、リビングと主寝室、そしてもう一台のエアコンを上手に使った結果、全館空調にかなり近い快適さで暮らしているそうです。
今後梅雨の結露や夏の冷房時期にも色々試してみるそうです。

④~全館空調並みの快適さをエアコン1,2台で実現~

中西工務店のEHCシステム

当社では2000年頃から全館空調の快適さに衝撃を受けて採用するのと同時に、高額な全館空調が無くてもルームエアコンを1~2台でお家が全館空調並みの快適さを実現できるはずと試行錯誤を重ねました。そして出来上がったのが当社の「EHCシステム」です。

「EHCシステム」のコンセプトは快適・健康な居住環境をいかに低コストで実現するかです。(詳しくは当社ホームページの「EHCシステム」をご覧ください。)

設計段階から、十分な断熱性能、地熱活用、そして何よりも間取りを含めた計画的な換気経路を突き詰めることで、全館空調のような快適性をルームエアコンで実現しています。

当時まだ高断熱仕様が一般的でなかった頃からご好評いただき「EHCシステム」を採用されたお客様も既に200軒を超えました。現在も20年前のお宅をご訪問すると他と同じ築年数のお宅と違って底冷えしないや、暖かい等のお声を頂けます。

まとめ

全館空調を採用する場合はいくつか気を付けるポイントを抑える必要があります。中西工務店では、お客様に十分にご説明した上で「全館空調」と「EHCシステム」のどちらかを選択して採用しております。ご不明な点はお気軽にお問合せください。

 

 

 

 

 

 

2022年3月21日  谷口 怜