「一次エネルギー消費量」という省エネ指標

「一次エネルギー消費量」という省エネ指標をご存知でしょうか?

共通の条件で建物全体の省エネルギー性能を評価する基準として国が設置した基準で、省エネ補助金を取得するためにも必要になっており、最近では住宅の省エネ性能を現す数値として、UA値と並び代表的な指標となってきています。

※国土交通省パンフレットより抜粋

□UA値との違い

「一次エネルギー消費量」は断熱性能のUA値と空調、換気、照明、給湯、太陽光などの機械の能力・性能を考慮して国土交通省が公開している計算ソフトで計算されます。

UA値が建物の断熱性能を現す数値である一方、その断熱性能の建物で設置する設備機器まで含めて、建物全体の省エネルギー性能はどのくらいになるかという指標になります。

□「一次エネルギー消費量」は住んでいる間に変わる。

もうお気づきの方もいらっしゃると思いますが、 「一次エネルギー消費量」はエアコンを変える、給湯機を変える、蛇口を変えるといったことだけで大きく変わります。新築時の「一次エネルギー消費量」の計算結果がずっと続くわけではありません。

□良い設備機器を設置すると「一次エネルギー消費量」は良くなってしまう。

良い機器を設置すると計算上は建物の性能がよくなります。もちろん良い機器(高い機器)が悪いというわけでは無く気を付けて考えなければならないのは、

設備機器に頼った「一次エネルギー消費量」の向上は、

ということです。

EV自動車と住宅省エネ設備機器の共通点

EV自動車を検討する時に考えること

皆さんは、EV自動車を検討したことがあるでしょうか?他のガソリン車やHV車と省マネーになるか比較する時には、

購入費用+維持コスト+売却時の下取り価格

を足し合わせて計算しますよね?いくら燃費が安くても、購入費が高額であったり、電池寿命を考えた時、下取りがあまり値がつかないことを考えると、2021年の現時点では少なくとも他の車に比べて省マネーでは無いように思います。

(※語弊が無いように、少なくとも省マネーではないというだけで、EVを否定しているわけではありません。EVには低CO2や災害対策としての面など、他の付加価値がたくさんあります。)

 

お家の省エネ設備機器との共通点

EV自動車と同じように、お家の設備機器にも付加価値のついた魅力的な設備機器がたくさんありますが、当然見合った価格になります。

また、ご存知の通り設備機器はメンテンナンスと切り離すことはできません。高額な機器はメンテンナンス費用も高額になりやすい傾向があります。

お家を快適にしてくれる、床暖房や全館空調設備などは導入費もさることながらメンテンナンスコストも高額で交換となると簡単に100万円を超える物もあります。メーカーにしてみれば、導入してもらえるとずっと儲かるオイシイ商材でもあるので、導入時は安くしますという謳い文句が多いように感じます。

□まずは断熱性能を確保。設備機器は自分に合った物を。

省エネ&省マネーを考える時は、まずは断熱性能の確保。

断熱性能(UA値)は、そのほとんどが新築時に決まってしまいます。リフォームなどでも向上はしますが、費用対効果は新築時の方が圧倒的に安くできます。

→「断熱性能にこだわるべき理由① ~数字でわかる光熱費の違い~」参照

設備機器は昔も今も10年一区切りと言われています。むしろ昔のエアコンは壊れずらかったという声さえ聞こえてきます。今は色々な機能が付き電子制御しているため、一つの機能でも不具合を起こすと機械が動かないためだといわれています。設備機器についてはメンテンナンス計画も含めて、ご自分に合った物を選ぶと良いのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

2021年12月18日  谷口 怜